緊張を克服したい、と思うことがあるだろう。
過度の緊張が原因で失敗したことのある人であればそう思うだろう。
だが、緊張を無理に克服しようとしてもできない。緊張というのは(受け入れて)付き合うもの、利用するもの、であるためだ。実は、上手く付き合って利用すれば、自分の力になるものなのだ。
本記事では、「緊張を克服するための方法」について書いてみたい。
緊張を克服する考え方は
克服しようとしない
緊張を無理に克服しようとする必要はない。
緊張を克服するための~という題にしたが、無理にそうする必要はない。
※気が付いたら、結果的に克服できたね…という形でいいのだ。
緊張はからだの反応であり自然なものだ。そのシチュエーションに適した状態を作るためにからだが反応した結果、「緊張する」という状態になる。「身が引き締まる」と考えておけばいい。
緊張はつき合うものであり、もっといえば、上手く利用するものである。
他人にはわからない
自分が緊張していることは、自分ではよくわかる。
他人も気付いているだろう…と思うが、他人は自分ほどわからない。
顔が引きつる、手足が震える、声が震える…という状態で、ようやく気付くのだ。
以前、すごく緊張しています、という講演者を見たが、傍目にはそう見えなかった。心臓ばくばく、のどが渇く、手に汗が滲む…程度であれば、自分はわかっても他人にはわからないのだ。
自分は自分の緊張を、他人よりも高く評価している、ということだ。
自分の経験からも、他人には自分が思うほどわからない、は正しいよ。
緊張がばれてもいい
自分が「緊張しい」であることがばれても問題ない。
自分の弱みを他人に見せることは、実はとてもいいことなのだ。
自分の弱みを隠したいとすると、隠すことにリソースを使うはめになり消耗する。また、自分の弱みを隠そうとする人は、肩ひじを張った感じになり、不必要なプライドも高くなってしまう。
その結果、他人との間に柵を張りめぐらせる。これでは人には好かれない。
自分の弱みを見せれば、自分は(隠さなくていいので)楽になるし、他人の自分に対する好感度は上がる。素直で強い人だな…と思うし、実は「自分もそうなんだ…」と共感する場合もある。
いずれ(時の経過により)ばれるのだから、しばらく隠しても意味はない。
相手が敵でなければ、自分の弱みを見せることはプラスになるんだ。
評価は下がらない
緊張しいがばれても、他人の評価が下がるとは限らない。
過度に緊張する人は、「緊張しい」がばれると、自分の評価が下がる…と思う。
人前でも緊張せず、堂々とはきはき話すことは立派なことだ。弁論大会などでは必要条件になるだろう。だから、緊張しながら声を絞り出すように話すことがダメだ…ということにはならない。
※緊張のあまり、どもったりかんだりするからダメだということにはならない。
逆に、その緊張感から思い(重い)がこちらに伝わってくるということがある。
問題は伝わるか伝わらないか…なんだ。
何ができるか考える
現状で自分は何ができるのか…と考えたい。
緊張と上手く付き合えない人は、こういう考え方をしない。
自分はもともと緊張する性質だから無理だ、その場を避けたい…と考える。
そうではなく、緊張しいの自分が逃げずにできることは何か、緊張下で自分は何ができるのか考える。制約の中で、自分は何ができるのか…と自問するのだ(成功に必要な汎用的な自問になる)。
制約の中で自分は何ができるのかという自問は、いろいろな場面で使える。
緊張を利用すればいい
緊張は忌み嫌うものではなく、利用するものだ。
※緊張を上手く利用すれば、パフォーマンスが上がることは間違いない。
その方法だが、過度に緊張して焦る・緊張をコントロールできず困った…という状態を、好ましいチャレンジ反応が起きている、興奮してわくわくしている、という認知に変える方法がある。
ネガティブをポジティブに変えることで、緊張は利用できる形に変わる。
自分で緊張を利用できる形に変えることが大事だよ。
腹式呼吸を使えるように
腹式呼吸の練習をする
正しい腹式呼吸で緊張をコントロールすることができる。
問題は、どうやって正しい腹式呼吸を身に付け使える状態にするか、ということだ。
※普段、腹式呼吸ができても、緊張した状態でできなければ意味がない。
このことをずっと考えていて、先日、偶然から思いついたことがある。
40mぐらいを全力疾走した時、その後の状態が過度に緊張したときの状態と似ていることに気が付いた。あっぷあっぷして苦しくなり、上ずり肩で息をする(胸式呼吸をする)という状態のことだ。
こういう過緊張の状態とよく似た状態で、腹式呼吸をするのだ。
やってみるとわかるが、過度の緊張時と同じく体も気持ちも上ずっているのでむずかしい。そこで、重心を下に落とすイメージをしたり、吐くときの時間を2倍にして腹式呼吸に持っていく。
この練習を続け、自在に腹式呼吸に持っていけるようになれば、効果が期待できる。
腹式呼吸を大事なところで使える状態にすればかなりの効果があるよ。
まとめ
本記事では、「緊張を克服するための方法」について書いてみた。
1)克服しようとしない、2)他人にはわからない、3)緊張がばれてもいい、4)評価は下がらない、5)何ができるか考える、6)緊張を利用する、7)腹式呼吸の練習をする、の7つだ。
かなり緊張しても、(症状が表に出てこない限り)他人にはわからない。
顔が引きつったり、手足が震えて緊張がばれてしまってもかまわない…と考えると、気持ちが楽になるだろう。もし評価が下がり、くやしい思いをしたのなら、取り組むべき課題とすればいい。
※過度の緊張のせいで伝わらなければ、評価が下がることはあるだろう。
認知の話以外では、腹式呼吸が過度の緊張を抑える鍵になる。
※過度に緊張する場面で腹式呼吸をできるようにすることが、この問題のソリューションだ。
だが、練習なしでそうすることはできない。普段できても、肝心な場面でできなければ意味がない。練習は、疑似的に緊張状態を作り、その状態で腹式呼吸をする、という方法がいいと思う。
すぐにできるようにはならないが、練習を重ねれば感覚をつかみ、できるようになるだろう。
今回の記事:「緊張を克服するための方法」