認知の歪みを改善したい…と思うことがある。
人の認知というものは、歪みがちになるためだ。そのことを知っていても、意図的に補正する努力をしなければ歪んでしまう。認知が歪むと、いい結果にならないことは経験則から知っている。
本記事では、認知の歪みを改善する方法について書いてみたい。
認知の歪みとは
認知の歪みの意味は
まず、認知の歪みの意味から確認しよう。
認知の歪みとは、誇張的で非合理的な思考パターンである。
こういった思考パターンは、その個人に現実を不正確に認識させ、ネガティブな思考や感情を再強化させうるとされている。バーンズは、気分や感情は事実ではなく、逆に「歪んだ考え方がマイナスの気分を生み出す」と述べている
認知の歪みとは、誇張的で非合理的な思考パターンである。
認知が歪んでも、プラスの方に認知が歪めばいいのだろうが、普通はマイナスの方に認知が歪む。人には(ポジティブなことよりも)ネガティブな事象に強く反応する、という特徴があるためだ。
※人は、ネガティブな事象をいつまでも覚えていて反芻したりする。
認知の歪みの例は
たとえば、相手が目を合わせてくれない、という場合を考えよう。
偶然会った知人にあいさつをしようとして目線を送るが、相手はこちらを無視する感じで見ようとしない。一応会話をしているのだが、相手はこちらを見ようとしない…というケースがある。
どちらの場合も、自分は相手に嫌われているのではないかと思う。そこから、自分は人に嫌われやすいのではないか、人として問題があるのでは、嫌なダメな人間ではないかと思ったりする。
※自分には、相手を不快にする素養があるのではないか…と思ったりもする。
認知の歪みを改善する方法は
自分の認知を疑う
上の例であれば、相手と目が合わない、相手がこちらを見ない、という事実がある。
相手と目が合わないのは事実だから、確かなことだ。問題になるのは、その事実の解釈だ。
こちらのことが嫌いだからそうするのか、関係性の薄い人に対してそうするのか、コミュニケーションが苦手だからそうするのか…。その人は、多くの人にそういう対応をするのかもしれない。
解釈はほかにもあると思うが、どれが真実かわからないのだ。真実がわからない状態で、「相手に嫌われている…」と判断を下すのは早計だ。そこから思考を進めると、認知の歪みは酷くなる。
仮説を検証する
仮説を検証なしで、自分に取り込むことはできない。
ここでの仮説は、「Aさんは自分のことを嫌っている」だ。
この仮説を検証するためには、さらなる情報が必要だ。Aさんの行動を観察し、「自分にだけそういう態度をとる」ということであれば、この仮説が正しい可能性が高くなる。それ以外の場合は、仮説が間違っている可能性が高くなる。いずれにしても、仮説の検証なしで判断を下してはいけない。
仮説の検証なしで自分的な結論に飛びつく人が多いんだ。
自傷しないようにする
何かについて判断・解釈するときは、自傷しないように気を付けた方がいい。
普通の状態であれば、カッターで自分の腕を切りつける、みたいなことはしないはずだ。
だが、普通の状態でも、肉体を傷つけることはしないのに、精神を傷つけることはしている。ネガティブな解釈のことだ。ネガティブな仮説を立てることは、まぁ仕方がない。だが、そこで検証前の仮説にすぎない、としてストップしたい。それ以上いくと、自傷することになるからだ。
肉体の損傷には気を付けるけれど、精神の損傷には無頓着になっているよ。
グレーを許容する
白か黒か、0か1か…という見方は、認知の歪みを導く。
中間を排除するのだから、合理的な思考から誤差が大きくなるのは当たり前の話だ。
人付き合いでも、自分の味方なのか敵なのか、だけで考えない方がいい。そう考えると、どちらでもない人を敵側に追いやってしまう可能性が高くなる。中間にいる人はそのまま許容すればいい。
~すべきをやめる
他人に対し「~すべきである」をやめる。
部下の立場であれば、上司は部下のロールモデルであるべきだ、上司であれば、部下は献身的に上司をサポートするべきだ、と思うかもしれない。わたしも部下の立場でそう思う時期があった。
だが、そう思うと、相手が意に反する言動をしたとき、かなり嫌な気分になる。
この繰り返しにより、相手のことが嫌いになったり、敵意さえ抱くようになる。相手に対しこのような感情を持つことは、歪みの酷いレンズ越しに相手を見ることに等しく、認知の歪みを導く。
安易に一般化しない
仮説の検証なしで決めつけ、そこから思考を進めてはいけない、ということだ。
たとえば、あがりやすい人は、「自分のあがり方は普通ではないよ」と思いがちだ。
そして、(一部を除く)ほとんどのコミュニケーションにおいて、「あがってしまう」、「今度もあがるから上手くいかないだろう」、「あがりのために低評価になるだろう…」と考えてしまう。
そう考えると、本当にそうなってしまうんだよ。
やっぱりね…をやめる
成功を過小評価し、失敗を過大評価することがある。
うまく行ったときは、まぐれだと思う。たまたまだと思い、継続性はないと考える。
または、自分が不当な形で細工しているから、上手く行ったと思う。たとえば、テストの結果が良くても、たまたま山が当たって勉強したところがテストに出ただけ…とする。そして、今回だけのまぐれとする。一方、上手く行かなければ、やっぱりね…と思う。これが自分の実力だと思う。
※上手く行かない方を実力であり、(上手く行かないことに)継続性があると考える。
やっぱりね…で決めつけると、能力に蓋をすることになるよ。
まとめ
本記事では、認知の歪みを改善する方法について書いてみた。
その方法だが、1)自分の認知を疑う、2)仮説を検証する、3)自傷しない、4)グレーを許容する、5)~すべきをやめる、6)安易に一般化しない、7)やっぱりね…をやめる、の7つだ。
まずは、自分の認知を疑った方がいい。
事実は1つだが、解釈は複数ある。自分の解釈は正しい、と思ってしまいがちだが…
それは、あくまでひとつの仮説にすぎない、とする。当たっているかもしれないし、そうでないかもしれない。有力な解釈が複数あるのであれば、その仮説は外れている可能性の方が高いだろう。
※そもそも認知は歪むものだから、外れる可能性の方が高いのだ。
検証前の仮説を取り込んではいけない。
単なる仮説として、新しい情報が入るまで放置しておけばいい。
また、自分を傷つけないようにする、という注意が必要だ。わたしたちは、意図的に肉体を傷つけたりしないのに、精神は平気で傷つける。このことは本当に変なことで、そのことに気付きたい。
今回の記事:「認知の歪みを改善する方法7つ」