人のせいにしないということは、とても大事なことだ。
だが、ついそうしてしまう。人のせいにすれば、自分が傷つかず、責任を感じることも責任をとることもしなくていいためだ。これは、自分の責任を他者に押し付ける行為、としていいだろう。
しかし、人のせいにするデメリットは大きい。自分を守ろうとして他人に負担を転嫁することで、自分を苦境に追い込んでいる…とすることもできる。このことには、早めに気付いた方がいい。
つまりは、人のせいにしないことで、己の生き方を改善できるのだ。
人のせいにしたい
人のせいにしたい心理が
わたしたちには、人のせいにしたい心理がある。
非を人のせいにすると、自分が責任を感じる必要がなくなる。
たとえば、上司から何かの仕事を命じられたとしよう。その仕事に取り組んでみたが、知識や経験の不足、さらにはやる気の不足もあり、どうも上手く行かない。そこで、「こんな仕事を自分に命じた上司が悪い」とすれば、 自分が責任を感じる必要がなくなり気が楽になる。
この「気が楽になる」ということが、自分にとり報酬になる。
自分が悪いとしたくない
人には、自分が悪いとしたくない…という心理がある。
そのため、自分に非があっても、いろいろと言い訳を考える。
以前、あるプロジェクトのチームを率いたことがあるが、チームの士気が上がらず難儀した。
その際、わたしは個々のメンバーの資質に原因がある、とした。能力がないし責任感もない。残念な人だな…と。だが、普通に考えれば、チームをリードしていたわたしのやり方に原因がある。
わたしは、自分のことを棚に上げて、自分以外の人のせいにしていただけなのだ。
誰々は使えない…という思考になったら、注意した方がいい。
人のせいにすると
人に避けられるように…
何かと人のせいにしていると、人に避けられるようになる。
人のせいにする人というのは、まわりの人に対し負担をかけるためだ。
何かあれば、自分のせいにされるかも…ということがあるし、明らかに自分に非があるにもかかわらず、人のせいにして強弁している姿を見るだけでも<うんざり>する。「この人はまともな人ではないな」と思い、気分が悪くなるのだ。
※こういう人とつき合うと、自分が支払うコストが高くなるので避けようとする。
他人に負担を強いる、ということになるよ。
一緒にやろうと思わない
このタイプの人と、一緒に仕事をしようとは思わない。
以前の上司がこういうタイプの人で、危険を察知したら人に責任を押し付けて逃げる人だった。
こういう人は尊敬できないし、一緒に仕事をしようとも思わない。一緒になにかやりたいと思う人は、非があれば率直に認めて責任を取ってくれる人だ。どれだけ責任を引き受けることができるのか、ということが、その人の度量になる。度量が狭い人とは、一緒に仕事をしようとは思わないものだ。
※たとえ、自分の度量が狭くても、度量が狭い人とは一緒に仕事をしたいとは思わないものだ。
人のせいにする人は
人のせいにする人には、自分が被害にあうと大騒ぎする、という特徴がある。
他人に被害を与えた場合は、だんまりか責任転嫁するが、自分が被害にあうと大騒ぎする。
さらに、ミスを指摘すると気分を害する、自慢する、常に、自分は正当に評価されてないという感覚を持つ、という特徴がある。要するに、自分に自信がなく自尊心が低い、ということだ。
※人のせいにする人は、「面倒な人である」とまわりから認知されることになる。
面倒な人とはかかわりたくない…が心理だね。
人のせいにしない
人のせいにしなければ…
人のせいにしなければ、気持ちが別の意味で楽になる…ということがある。
仕事でもプライベートでもいいが、誰かに対し好意的にアプローチしたとしよう。
そのとき、相手から無視されたり、冷たいリアクションが返ってくれば、相手に対し腹が立つ。人としておかしくないか、と思ったりする。だが、自分が未熟なせいではないか、と思えば、怒りはそれほど大きくならない。
自分を改善することで、残念な状況を改善すればいいのでは…と思えるためだ。
自分の課題や問題点が見つかった、と前向きに考えることができる。
自分を改善できる
つまり、人のせいにしなければ、自分を改善できるのだ。
世の中には、自分でコントロールできないことがたくさんある。
どんな家庭に生まれるのか、どんな両親に育てられるのか、どんな担任に当たるのか、どんな上司に当たるのか、などはコントロールできない。会社や社会の仕組みを変えることもできない。
だから、コントロールできないことに恨み節をぶつけるのではなく、自分がコントロールできることを探し改善する、ということが大事になる。変えられないことに当たっても、不毛なのだ。
そのために、人のせいにしない、という思考が役に立つのだ。
ビジネスの失敗も…
ビジネスの失敗も、突き詰めれば自分のせいだ。
失敗した人は、人材の不足、資金の不足、外部環境の悪化…とする。
その気持ちはよくわかる。人材も資金も豊富なライバルが増えると、当然こちらは押されることになる。
だが、ビジネスの歴史をひも解いてみると、人材や資金が不足している側が、それらが豊富なライバルに勝利する、というケースが普通にある。戦でもスポーツでも、戦力で劣る側が勝つケースがある。つまり、勝つための変数は(思うよりも)たくさんある、ということだ。
それに気が付かなかった自分のせいだ、ということになる。
まとめ
今回は、人のせいにしない、というテーマで書いてみた。
人には、自分のせいではなく、人のせいにしたい…という心理がある。
たとえば、仕事ができないときに、「こんな仕事を自分に命じた上司が悪い」とすれば、ある意味無敵になる(笑)。上司の立場であれば、「仕事のできない部下が悪い」とすればいい。
だが、人のせいにするデメリットがあまりに大きい。
一番大きいのは、信用を失い、「人に避けられるようになる」ということだ。
人のせいにするということは、自分の責任を他人に転嫁する、ということだ。
ゆえに、まわりの人は(余計な負担を避けるため)その人を避けようとする。まわりの人は、その人のことを度量が狭いと思い、「人としてどうか…」とも思うので、一緒に仕事をしようとは思わない。
人のせいにしなければ、このようなことがなくなる。
さらに、自分がコントロールできることを探し改善する、という行動を取れるようになる。この行動は自己の成長につながるし、何かに恨み節をぶつけるよりは、はるかに生産的なことになる。
人のせいにしない…で、生き方を改善してみてはどうだろうか。