わたしたちは、無意識に人に期待している。
人に期待することは自然であり、そうすることで人間関係を深めやすくなる、ということがある。一方で、人に期待することで、自分を苦しめている、人生を難しくしている、ということもある。
後者に当てはまる人は、人に期待しない生き方にすることで人生が楽になる。
今回は、そのことについて書いてみたい。
人に期待してしまう
わたしたちには、「人に期待する」という特徴がある。
こちらがあいさつをすれば、あいさつを返してくれるだろう…と思う。
話をすれば聴いてくれる、好意を持てば、相手も好意を持ってくれる、自分が困っていれば、誰かが助けてくれる、何かをしてあげれば、感謝される…など、常識的な期待から我田引水的な期待まで程度はいろいろある。
期待の度合いはさまざまだが、わたしたちが人に期待してしまうことは確かだ。
期待するとはどういうことか
人に期待する、ということは、そもそもどういうことなのだろうか。
簡単にいえば、対人関係において「前のめりになる」ということだ。
前足に重心をかけているため、調子がいいときは満足感を味わうことができる。だが、懐が狭いという欠点があり、期待が裏切られる…という状態になると、深くダメージを受けてしまう。
逆に、期待しない状態は、後ろ足重心であり、懐がひろくなる。ゆえに、満足感を味わうことがないかわりに、深くダメージを受けることもない。その結果、メンタルの安定度が高くなる。
前のめりになっていると、強烈なカウンターパンチを受けることがあるんだ。
相手を責めてしまう
相手がこちらの期待にこたえてくれない…となると、負の感情を持つことになる。
たとえば、ブログを書いていると、いろいろな人からメッセージをもらうことがある。
ポジティブなメッセージが多いのだが、中にはこちらを責めるようなメッセージもある。「あなたは何もわかっていない人だ!」とか、「あなたの記事は、困っている人の気持ちを逆なでするものだ!」というメッセージをいただいたことがある。
相手が自分の期待にこたえてくれない…と感じると、相手が悪いとし責めたくなるのだ。
気持ちはわかるから、そういう人を責めるつもりはないよ。
いい結果にはならない
人に対し負の感情を持つと、決していい結果にはならない。
たとえば、あいさつを無視された…というだけでも、かなり嫌な気持ちになる。
勇気を振り絞り好意的に話しかけたのに、相手は自分との間に壁を築き塩対応だった…という場合でも、嫌な気持ちになる。そんなときは、「自分を尊重しない相手の対応はおかしい」と憤り、そのことをしばらく引きずることもある。
そのような感情から、それまで良好だった人間関係が一瞬で破たんすることもある。
自分の不満を相手にぶつけるため、嫌な態度をとりがちになるよ。たとえば、あいさつを無視されたとき、近くの壁を拳で殴りつけた人を見たことがある。
期待することをやめる
少なくとも、人に過度に期待することはやめた方がいいだろう。
期待と現実とのギャップに打ちのめされ、自分が傷ついてしまうためだ。
人間関係において、満足感を味わいたい、自分はメンタルが強く、人間関係から生じる感情の起伏を楽しむことができる、それは人生を彩るものである…という人は、どんどん期待したらいいと思う。
それ以外の人は、人に過度に期待することはやめた方がいい。
人生を戦いにたとえると、いかに大きなダメージを受けないか、ということが大事になる。たとえ小さいダメージでも、蓄積すればきいてくる…ということもある。だから、普段から後ろ足に重心を置き、懐を深くしておいた方がいいのだ。
人並み以上の実力がある人でも、ダメージを受けやすい人は成功し辛くなるんだ。また、一時成功しても、長くは続かないんだよ。
期待しない方法とは?
人に期待しない方法だが、まず「見返りを求めない」ということがある。
他人に何かしてあげたとき、何らかの見返りを求めることは、普通のことだと思う。
自分の時間と労力を使って相手を助けた場合、なんとなく「自分が困ったときは、助けてくれるよね」、「何か違うことで返してくれるよね」と思う。対等な人間関係は、貸し借りのバランスで成り立つ、ということがあるためだ。
だが、相手には「見返りを求めない」とした方が楽になる。
たとえば、自分があいさつをしても、相手のあいさつは求めない、とすればいい。そうすれば、相手があいさつを返さなくても腹が立たなくなる。あいさつを返さないのは、相手の事情・問題でありこちらは関知しない、とすればいいのだ。
ユニークな人だな…ある意味「おもしろい」と思ってもいい。
相手との間に線引きをする
わたしたちは、自分の常識を相手にあてはめようとする。
そして、その常識に従わない人に「変わった人」というレッテルを貼り気持ちを処理する。
ここから進めて、こちらの常識とは違うが、あなた的には合理的な行動なのでしょう、とすればいい。たとえ不愉快な思いをしても、(残念ですが)わたしを不愉快にさせることが、あなたの心を満たすことになったり、利益になるのかもしれませんね、プライドは満たされましたか?とすればいい。
あなたの行動の結果は、あなたが引き受けることになるので、ご自由に…とすればいい。
期待した方がいい場合がある
ただし、相手により「期待した方がいい」という場合もある。
あなたにも、先生や上司に期待されて頑張った…という経験があると思う。
自分の上位者に期待されている…と感じると、頑張れたりするものなのだ。だから、自分が上位者の立場であれば、子供や部下を温かい目で見守り、過度ではないそれなりの期待をすればいい。
そうすると、その期待を追い風にして、子供や部下は伸びるだろう。
まとめ
人に期待するとは、対人関係において「前のめりになる」ということだ。
前足に重心をかけているため、調子がいいときはとても楽しくなる。自分のリズムで人間関係をコントロールできている、という満足感を持つことができる。だが、不調のときは「前のめり」が災いして、深いダメージを負ってしまう。
自分はメンタルが強靭・しなやかで、人間関係から生じる感情のアップダウンを人生を彩るものであるとして楽しむことができる…という人は、期待したらいいと思う。また、たくさんダメージを受けても、とにかく肝心な人に一発入ればいい、とする人もそうすればいい。
それ以外の人は、人に期待することはほどほどにした方がいい。
特に、敏感な人や豆腐メンタルの人は、人に期待しない方が人生が楽になる。
例外は、自分が上位者である場合だ。
その場合は、下位者である子供や部下を温かい目で見守り、適度な期待をすればいい。また、自分自身に対しても、同様の姿勢で適度な期待をすればいい。自分や下位者には、やや前のめりぐらいの姿勢がちょうどいい。
状況・相手に応じ、期待を上手く使えば、追い風にすることはできるだろう。
今回の記事:「人に期待しない生き方をすれば楽になる」