腹式呼吸のメリット4つ|コミュニケーションの改善にも…

腹式呼吸をしなさい、という指導を受けることがある。

腹式呼吸には胸式呼吸にはないメリットがあるためだ。必ずしも胸式呼吸が悪いということはないと思うが、腹式呼吸の方がいいという場面で、胸式呼吸を使っているということはあるのだろう。

たとえば、人前で話すときなどは、呼吸が浅くなる胸式呼吸より腹式呼吸の方がいい。

本記事では、腹式呼吸のメリットについて書いてみたい。


呼吸の種類は

腹式呼吸とは

呼吸には、(大きく分けると)胸式呼吸と腹式呼吸がある。

胸式呼吸は、ろっ骨筋(ろっ骨の間に張る筋肉)などを利用した呼吸法である。

※動画でわかるが、ろっ骨筋などの動きにより、息を吸うときはろっ骨を上前方に引き上げる。

対して腹式呼吸は、腹筋や横隔膜を利用して胸腔の内圧を変える呼吸法である。息を吸うときは、横隔膜が下がり(収縮し)胸郭を縦に大きくひろげる。その際、腹圧の上昇によりお腹が膨らむ。

息を吐くときは、腹筋の収縮+横隔膜の上昇により、息を吐く…ということになる。

2つの呼吸の違いだけれど、イメージとしては、胸で呼吸するかお腹で呼吸するかの違い…ということになるね。

肩で息をするのは…

肩で息をする、という表現がある。

いかにも苦しそうに、肩を上下させ呼吸する様子を表現したものだ。

この呼吸は胸式呼吸だ。胸式呼吸の場合、換気量が比較的小さい。胸郭というのは、骨で囲まれているため動く範囲が限られる。ゆえに換気量が小さくなる。その状態では呼吸回数が増えやすくなる。

苦しくて呼吸の回数を増やそうとすると、必然的に肩で息をする、という状態になってしまう。

苦しいときに胸式呼吸をすると、こういう肩で息をする状態になるよ。周囲の人がその様子を見て異変を感じる、ということもあるよ。

腹式呼吸のメリットは

換気効率がいい

腹式呼吸は、換気の効率がいい。

胸式呼吸でも横隔膜は動くが、1~2センチ程度の動きになる。

腹式呼吸の場合は、これが10センチ程度になる。この動きの差が、吸気の量に効いてくる。

ピッチ走法とストライド走法というものがある。同じ人が2つの走法を採用し同じスピードで走るためには、ピッチ走法では回転数を上げなければいけない。胸式呼吸は前者で腹式呼吸が後者だ。

※走法の場合は(体の特徴から)選択の余地が限られるが、呼吸の場合は自由に選択できる。

リラックス効果がある

腹式呼吸には、リラックス効果がある。

腹式呼吸をすると、脈拍が下がりα波が増加する。

通常は、自律神経の活動を自分の意思でコントロールすることはできない。たとえば、血圧を下げたいと強く思っても、下がるものではない。だが、腹式呼吸を使えば、そうできる可能性がある。

たとえば、腹式呼吸をすることで、過度の緊張を解くことができるだろう。

過度に緊張するシーンで、腹式呼吸をすることは有効だよ。

大きな声が出せるように

腹式呼吸には、<声>に関する利点がある。

まず、腹式呼吸をすると、大きい声を出しやすくなる。

普段の声が小さい人は、「お腹から声を出せ」と言われたことがあるかもしれない。

先に陸上のピッチ走法とストライド走法の話をしたが、それぞれの歩幅が吸・呼気の量だ。腹式呼吸をすると、吸・呼気の量が多くなる(歩幅が大きくなる)ので、自然に声が大きくなるのだ。

※楽に自然に、大きい声を出しやすくなるのだ。

安定+長時間話ができる

腹式呼吸をすると、安定的に長時間話をすることができる。

胸式呼吸で話をすると、呼吸が浅くなり、声が震えやすく、不安定になる。

声が上ずることもある。吸気が少ない、呼吸の際のろっ骨を引き上げる・下げる、という動きが、声が不安定になる原因になるのだろう。直感でも上が動くと重心が高くなり安定しないとわかる。

※加えて、胸式呼吸では過度の緊張を抑えることができない、ということもある。

長時間話すこともできる

また、腹式呼吸であれば、長時間話すことができる。

胸式呼吸で大きな声を出そうとしたり長時間話そうとすると無理が生じる。ピッチ走法なのに、回転数を維持したままで歩幅を大きく伸ばそうとしても無理な話だ。体を傷めることになるだろう。

※プレゼンなどで長時間話す必要がある人は、腹式呼吸を身に付ける必要がある。

胸式呼吸で大きな声で話そうとすると、のどを痛めやすくなるよ。

まとめ

本記事では、腹式呼吸のメリットについて書いてみた。

1)換気効率がいい、2)リラックス効果がある、3)大きな声が出せるようになる、4) 安定的に長時間話をすることができる、の4つになる。この呼吸には、かなりのメリットがありそうだ。

特に、コミュニケーション面における自己成長に使えそうだ。

声が小さい、かぼそい、何度も聞き返される人は、胸式呼吸で声を出している。この胸式呼吸を腹式呼吸に変えてやれば、地声が細い声でも力がこもるので、相手がらくに聞き取れるようになる。

※わたしは(呼吸の切り替え時)ピッチ走法からストライド走法に変える、とイメージしている。

今回書いたこと以外にも、メリットはありそうだ。

たとえば、腹筋を使うこと、腹圧を高めること、内臓を動かすことによるメリットが考えられる。腹筋やインナーマッスルを鍛えることができる、体の調子を整えることができるのかもしれない。

※呼吸は回数が多いので、1回の効果が微少でも、トータルでそれなりの効果が期待できそうだ。

今回の記事:「腹式呼吸のメリット4つ」